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飲食店の原価率は30%のウソ(業態別の原価率一覧表あり)

      2017/11/27

飲食店の原価率は30%?

今日から12月第3週で忘年会シーズン真っただ中です。忘年会シーズン真っただ中の飲食業界では隠れ家的お店が流行った時期がありましたが、隠れ家過ぎてお客の目につかず、業績低迷によって不運にも閉店になってしまったお店もありました。

隠れ家をコンセプトにしても、隠れ家過ぎて全くお客の目につかず売上が上がらなければ本末転倒です。

さて飲食業界については「飲食店の店舗数推移と市場規模」というタイトルでエントリーしましたが、今回は飲食店の原価率のお話です。飲食店の具体的な数字について記載します。


飲食店の原価率が一律30%ということはあり得ない

飲食店開業などに関する雑誌や一般書を読むと、原価率は30%ということがよく書かれていますが、この30%という数値は決して正しくありません。実しやかに飲食店の「原価率は30%」という数値が一人歩きしていますが、この数値は幻想です。

確かに原価率30%という飲食店はあるはずですが、著名なリサーチ会社や集計機関が公表しているデータを見てみれば原価率30%ということが決して事実ではないことがすぐにわかります。

飲食店を居酒屋やレストラン、イタリアンなどの専門料理店ごとに分類して原価率を見てみても業態によって原価率は違うし、黒字飲食店と赤字飲食店でも原価率は違います。

“飲食店の原価率は30%”はという観念に洗脳されると、失敗する可能性が高くなります。

focaccia@Arezzo

飲食店原価率の具体的数値は?

原価率が30%でないならば、原価率はどれくらい?という疑問が必然的に生じます。

一例を示します。

TKCが公表しているデータによれば、例えば食堂、レストラン(専門店除く)の原価率は

優良飲食企業:48%
欠損飲食企業:40%

となっています。

※ざっくり説明すると、優良飲食企業は利益を出している企業で、欠損飲食企業は利益を出していない企業です。なお専門料理店の原価率は「儲けたければ飲食店の原価率は40%にするな」に記載しています。

意外なことに優良店の方が原価率が高くなっています。原価率が高いということは良い食材を使用して、味で勝負しているとも考えられます。

ちなみに以前、仕事で入ったことのある多店舗展開している某有名な飲食店の原価率は25%でした(このお店はレストランではありません)。

このことから飲食店では業態が違えば、原価率で約25%もの差があることがわかります。

数字に馴れていない人にしてみれば「25%と、一般的に言われている原価率30%では5%の差しかないじゃん」と思うかもしれませんが、数字に馴れている人にとっては「5%」というのは大差です。5%は差は無視できません。

俺のイタリアンの原価率は?

先日、「俺のイタリアン、俺のフレンチ」を読みましたが、この本の中には俺系の店舗の原価率は60%と明示してあります。

コストを費やすべきところに費やさなかったり、費やさなくても良いところに費やすと経営で失敗しかねません。この点について誤解をしている人が多いからこそ「飲食店経営は赤字が7割」なのかもしれません。

赤字を脱出したい人は下の記事で基本を整理

参考:図を見れば一瞬でわかる飲食店の回転率と回転数

7238934684_2b2134285f_zPhoto credit:Bruno Cordioli

高原価率、飲食店の最前線

2014/8/24のTBSがっちりマンデーで「今、大ブーム!!高原価率ビジネス最前線!!」が放送されてました。

今回の番組のコンセプトは「飲食店の原価率30%は固定観念」的な内容でしたが、番組のなかで高原価率のお店が紹介されました。

そのお店の1つが、神田の「六花界」という焼肉屋です。
放送によれば、このお店は(記憶が確かなら)原価率55%で、坪売上が100万円とのことでした。坪100万円って、凄いですね。

その他、番組内で紹介された原価率の高いお店
・生け簀の銀次 (沖縄)
・かき小屋ランドリー (大阪)
・にぎり鮨 一五○ (愛知)
※下で紹介する原価率等は放送日現在(2014/8/24)のものです。

4946284503_b4283c1a86_zPhoto credit,debraj Ghosy

生け簀の銀次

生け簀の銀次では、原価率120%~140%の選べる5点“桶盛り刺し”というメニューをキラーコンテンツとして用意しています。そして+200円を支払って原価率30%のスズキを追加し、桶盛り刺しを5点盛りではなく、6点盛りにするとキラーコンテンツの原価率が94%になるというカラクリになっています。

すべてのメニューの原価率が100%ということはあるはずはなく、原価率10%未満の料理もあるようで、メニュー全体で原価率をコントールしています。

例えば、他のメニューの原価率は
小鯛とアスパラの炊き込みご飯 18%
小鯛一本と柔らか豆腐のふっくら煮つけ 35.7%

お店全体の原価率は38%とのこと。

在庫管理の手法にABC分析という手法がありますが、意識的にか無意識的にかわかりませんが、この手法と考え方を応用してメニュー表を作ったり、お店全体の原価率をコントロールしているように思います。

かき小屋ランドリー

このお店は6坪で月商400万円以上、原価率は45~50%とのこと。
原価率は高めですが、このお店のポイントは、いわゆるワンオペで、しかも店舗オペレーションを極力シンプルにしてます。オペレーションをシンプルにするので、料理原価以外のコストが圧縮されす。

にぎり鮨 一五○

このお店の月商は1,000~1,300万円で、出前だけで多いときは月商400万円。

原価率は、大トロ150%、大アナゴ150%、ボタン海老160%など、平均すると原価率は54%とのこと。

このお店のポイントは家賃で、通常、飲食店の家賃は売上の10%程度とされていますが、このお店は2%。原価以外の家賃を圧縮し利益が生じやすいようにしていました。

生け簀の銀次もそうでしがた、にぎり鮨 一五○もメニューの見せ方を工夫していて、お客が原価率の低い料理もオーダーするように仕掛けています。

飲食店全体に対して言えることですが、メニューの見せ方を工夫してお店の計数管理に繋げることも、経営管理の観点からは大切です。ただ単に、メニュー表にメニューを羅列するだけでは、戦略的なメニュー表とは言えません。

偶然にもこの記事をご覧になった、にぎり鮨 一五○の専務取締役から「編集で大幅にカットされTVで放送されなかった秘密がある」と直接ご連絡を頂きましたので、その放送されなかった儲けの秘訣をリンク先の記事にまとめました。

繁盛している飲食店の儲けの秘訣をコッソリ教えます。

参考:繁盛飲食店のTV放送でカットされた原価率のを公開するよ!!

原価バー

五反田にある原価バー。原価バーはここ数年流行りのようで3年連続増収増益。ここは入店時に入店料として1,600円/人を徴収します。

入店後は、料理・お酒を原価で頂く仕組みです。ちなみにフォアグラソテー520円。

コスト割合は、原価50%、人件費23%、家賃その他19%で、残り8%が利益のようです。

いきなりステーキ

最近、都内ではいきなりステーキというステーキ屋さんを見かける機会が多くなりました。基本コンセプトは、俺のイタリアンなどに共通しているものがあるように感じます。

原価率は、廃棄分も含め、70~80%とのこと。

まだ伺ったことはありませんが、機会があれば、是非あの強烈なステーキを食べてみたいです。

※ 俺のイタリアンといきなりステーキをざっくり比較しました。

参考:俺のイタリアンでわかるシェフ・料理人のピラミッド

北海道海鮮 にほんいち

北海道を中心に11店舗展開しており、44か月売上高更新中の北海道海鮮にほんいち。

キラーコンテンツの漁師町の刺身板盛りは原価率110%、ぶっかけ出巻玉子は80%。

こちらのにほんいちも、メニュー表の見せ方は工夫しています。

やはり繁盛している飲食店のメニュー表には鉄板ルール、勝利の方程式があると思います。

※ 原価バー、いきなりステーキ、にほんいちは2015年9月22日WBSの放送内容をまとめたものです。

2346450825_f35e51e7e8_zPhoto Credit,Angela Radurescu

さて飲食業界ですが、既に低価格競争からCP競争に切り替わったように感じます。30%という呪縛に憑りつかれると、ジリ貧になっても不思議ではありません。

4657403104_06b90f8bc0_zPhoto credit by Ronald Dueñas

まとめ:飲食店の原価率30%は誤解

飲食店の原価率についてまとめると、飲食店の原価率30%は固定観念にすぎません。例えば、居酒屋やカフェ、焼肉、専門料理店などの業態によって原価率は違います。また同じ業態でも黒字店舗と赤字店舗、優良店舗と欠損店舗でも原価率は違います。

もちろん飲食店によっては、原価率30%というお店もあるはずです。ただ全ての飲食店の原価率が30%ということはあるはずがありません。

原価率について、もう少し知りたい方のために

原価率について、もう少し知りたい方のために原価率に関する記事を一覧にしました。

参考:【まとめ】原価率に関する記事を一覧にしてまとめました。

また、飲食業界や飲食店経営、開業、節税、補助金などについては下のリンク先に豊富な情報を用意してます。



業態別の原価率一覧をアップします!

最後に、業態別の原価率一覧表を掲載します。

1点だけ注意してほしいのは、この原価率一覧は欠損企業の原価率平均です。優良企業の原価率平均や黒字企業の原価率平均とは違いますので注意して下さい。

自分のお店の原価率と比較してみましょう。

飲食店の経営者以外の人は、業態別の原価率を知っていれば、どんな食べ物を食べればお得なのかがわかります。原価率の高いフードを食べれば、お客さん側にとってはコスパが良いということですね。

業態別の原価率平均一覧業態別の原価率平均一覧(出所:TKC経営指標)

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