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アップルも選んだ合同会社のメリットとデメリットを株式会社と比較

      2017/12/08

さて今回は、アップルも選択した合同会社のメリットとデメリットの話題を中心に、実際のビジネスの現場ではどうなっているかについても、少しだけお話します。


アップルと記載しましたが、ご存じのようにアップルはリンゴではなく(笑)、Iphoneを発売している、あのアップルです。アップルは株式会社ではなく、合同会社です。

アップル以外に、株式会社ではなく合同会社形態を採っている会社には、シスコシステムズや西友などがあります。

世界を代表するアップルが合同会社としているのは、それなりのメリットがあるからでしょう。

※ 起業のときに、休眠会社を譲り受けて事業をスタートするという選択肢もありますが、そのメリットとデメリットについてはリンク先でお伝えします。

起業のときに休眠会社を活用するメリットとデメリットは?

合同会社のメリットとデメリット

合同会社のメリットとデメリットについて触れる前に、まずは合同会社がどれくらい設立されているか、その設立件数推移を見てみます。

LLC(出所:法務省統計より作成)

これを見る限り、合同会社の設立件数は平成18年の約3倍になっていることがわかります。

ちなみに、H25年の株式会社設立登記件数は、81,889件です。

ここでは、合同会社の設立件数推移を見てみましたが、合同会社と株式会社以外の会社形態としては、合資会社や合名会社があります。合資会社と合名会社の説明は省略。

以降で、合同会社の主なメリットについて記載します。

株式会社より設立費用が安い

株式会社を設立する場合、定款の認証料(5万円)や印紙代(4万円)、登録免許税(15万円~)が必要です。

定款を電子認証すれば印紙代4万円は不要になりますが、電子認証するためのツールがなければ電子認証はできません。

株式会社を設立する場合は実費で20万円~24万円必要になります。

合同会社を設立する場合には、印紙代4万円と登録免許税6万円~が必要です。電子定款にすれば印紙代は不要です。

結局、合同会社の設立には実費で6万円~10万円必要になります。

したがって、株式会社を設立するよりも合同会社を設立した方が10万円以上安くなります。

資金が豊富であれば、10万円程度は痛くも痒くもない金額かもしれませんが、零細起業家にとって、この節約はありがたい。

合同会社の社員は間接有限責任で済む

この合同会社の間接有限責任については、株式会社の株主と同じです。

ここで簡単にトヨタ自動車の株主を例に、間接有限責任について説明します。

トヨタ自動車の株式100株を70万円(株主A)で取得したとします。取得後、トヨタが1000兆円の負債を抱えて倒産した場合、株主Aは株式の取得代金70万円を限度として損失を被ります。

70万円超の損失を被ることはありません。これが間接有限責任です。

ちなみに社員が有限責任ではなく、無限責任の場合、債権者から70万円を超える金額を請求されることがあります。債権者は70万円を超えて請求することができます。

この間接有限責任は、合同会社のメリットとして紹介されることが多いです。

ただ実際には、合同会社の経営者(=社員)が金融機関から借入をする場合には連帯保証人になることがほとんどです。

したがって、それほど間接有限責任のメリットは大きくないのではないかと思います。ただし、無限責任よりはマシです。

柔軟な配当ができる

出資割合が50%づつの株主AとBがいる株式会社があったとします。この会社に利益100が発生した場合、株主AとBに50づつ配分します。株式会社の場合、このように配当は出資割合に応じます。

合同会社の場合の配当は、出資割合に応じて配分する必要がありません。したがって、出資割合ではなく、会社業績への貢献度に応じて配当することも可能です。

このメリットはどういう場面で威力を発揮するかと言うと、お金もあってアイディアもあるけどweb技術がないCとweb技術はあるけどアイディアのないDが一緒にビジネスをする場合などに有効です。

株式会社の場合には、出資したCが利益を独占することができますが、合同会社の場合にはCとDで利益を折半することが可能です。

話は逸れますが、共同で事業をする場合、注意したいのは、ノウハウはないけれど資金のあるEと、資金はないけれどノウハウのあるFが一緒にビジネスをする場合です。

EはFのノウハウを抜いた後、意図的にケンカ別れを仕掛けることがあります。

株式会社の場合にも、このようなリスクがあります。

極端な例を出すと、全額出資したG(会社のオーナー)が、ノウハウのあるHに社長の椅子を約束して共同事業の話を持ちかけます。

Hのノウハウを抜いた後、全ての議決権を保有するGがHを解任して会社から追放します。

このようなリスクがあるので、ノウハウや技術のある人達は注意した方が良いです。

機関設計が自由

合同会社のメリットの1つとして、機関設計が自由と言われることがあります。

機関というのは、株式会社の例で言うと、株主総会や取締役会のことです。

ちなみに株式会社の場合には、株主総会と取締役は必須です。

合同会社の機関設計が自由と言うことは、ゆるい内部体制を作ることも、厳しい内部体制を作ることもできるということです。

合同会社の場合は機関設計が自由なので、株式会社と違って、株主総会も毎年開催する必要もありません。

ただ実際は、株式会社の場合(中小企業)にも、株主総会さえも毎年開催していない会社がほとんどです。

もちろん、上場企業は毎年、株主総会を開催しています。

決算公告義務がない

合同会社の場合には、株式会社と違い、決算公告の義務がないこともメリットの1つとして説明されることが多いです。

例えば官報などに決算公告を出すとなるとコストが発生しますが、このコストを節約できます。

ただ、実際には、特に中小企業の場合、決算公告していない株式会社はたくさんあります。

合同会社のデメリット

合同会社のデメリットは、株式会社よりも会社の信用力が低くなることに尽きます。

これは具体的にどういうことかというと、その合同会社は支払能力があるかどうか、踏み倒されるリスクがないかどうかなどについて、警戒されることがあるということです。

ちなみに株式会社と比較して、合同会社の場合は税務上のメリットもほとんどありません。

合同会社の設立を検討すべきケース

次のような場合には、合同会社を設立しても良いのではないかと思います。

・上場して資金調達をする必要がない場合
※そもそも合同会社は上場できません。

・既に信用力の高い会社が子会社を設立する場合

・個人事業主の法人成

・資本が乏しい

このような場合は、設立する会社を合同会社とすることも、まあ、アリかな思います。

ただやはり信用という点では厳しいので、アップルなどのように既に信用のある会社は除いて、個人事業主が法人化するときなどは株式会社を設立することをお勧めします。

独立したり、会社を経営すると与信管理の必要性や、債権回収のマネジメントもする必要があるので、できるだけ信用の低い会社とは取引したくないというのが経営者の本音だと思います。

起業して合同会社を設立する方へのお勧め記事

参考:誰でも簡単にわかる!合同会社設立の手続きと5つのポイント

合同会社ではなく、やっぱり株式会社という方へのお勧め記事

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