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【税制改正】偏差値50になるためのH28年度税制改正論点

      2016/01/10

人工知能(AI)などが普及すると税理士等の税務申告代行業者は消えると言われていますが、結論から言うと消えない。ただ資格内格差は必ず広がります。消えるのは、機械的な作業しかできない税理士や、記帳代行業者等だと思います。

これは資格に限らずビジネスマンでも同じで、AIの発達で情報強者と情報弱者の格差や、またはアーリーアダプターとアーリーマジョリティの溝は更に深まって、格差社会がますます激しくなると思います。

AIは、人の成長の機会や能力の鍛錬を奪う。

格差が広がると言うことは、日本の犯罪率の上昇要因にもなるということも意味していると思う。

さて話は税制改正になりますが、毎年この時期になると税制改正の話になります。毎年改正されるとそれに対応しなければならない税理士も骨が折れる。

今回は法人税の改正についてお話します。ただ全ての改正論点は取り上げません。必要最低限だけ。専門職でもない限り、すべての改正論点をインプットする必要はないからです。

標準的なビジネスマンや経営者でも知っておいて損はない改正事項についてだけ、できるだけわかりやすく説明します。


法人税が引下げられる

今回の税制改正で法人税が段階的に引き下げられるようです。

tax01

これは企業の国際的な競争力を上げるために当然と言えば、当然の方向です。

折角なのでアジアの法人税率と比較してみます。

tax02(出所:JETROwebサイト)

ちなみにインドネシアの場合には、下のようなルールになっています。

法人税率:25%
上場会社で株式の40%以上を公開している場合は20%
年間売上高500億ルピアまでの小企業は48億ルピアまでの課税所得に対して税率は半減される。
年間売上高48億ルピア以下の企業はファイナルタックスで毎月売上高に対して1%課税される。

アジアの法人税率と単純に比較すると日本もそれなりに低いように見えますが、日本の法人実効税率は30%弱あります。

これでも日本の法人税(実行税率)は、以前に比べると相当下がっています(下図 実効税率の推移)。

tax03

法人実行税率ってなに?

ところで上で実行税率という言葉が出てきましたが、この実行税率とはなにか?

管理系の仕事をしていたり、いつも新聞を読んでいればわかるかもしれないけれど、それ以外の人はわからないかもしれない。

イメージが沸きにくい専門用語の1つだと思います。

会社は負担している税金は、法人税以外にも事業税や住民税もあります。 

実行税率とは、簡単に言うと、事業税や住民税などの法人税以外の税金も含めた会社が実質的に負担する税率のこととも表現できます。

中国の法人税と単純比較すると、日本の法人税の方が低いんですが、実際に日本の会社が負担する実効税率と比較すると中国の方が低くなりますね。

せっかくなので財務省webサイトより実行税率の国際比較表を拝借します。

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シリコンバレーのあるアメリカ(カリフォルニア)の実行税率が40.75%と、ひときわ目立った税率になってます。

役員給与の柔軟化

現時点の役員給与制度は、硬直的だと思います。ただそれは政策的にやむを得ない。ある程度硬直的にしないと、利益がたくさん出たときは役員給与を多めに計上して利益を圧縮して、逆に利益がギリギリのときは役員給与を少なくして利益を多く見せるように操作することが可能になってしまいます。

もちろん恣意的に利用されるような役員給与の計上は今後も認められるはずはありませんが、あまりに硬直的にすべきではなくて、多少の柔軟性も必要で、他の国と比較しても利用がってが悪すぎるというのは避けるべきだと思います。

そこで今回、役員給与が柔軟な取扱いになるようです。

tax05

日本の会社のうち95%超が同族会社なので、利益連動給与の改正の影響を受ける会社の数は少ないです。

リストリクテッド・ストックとは?

図のうち、事前確定届出給与の欄にある「一定の譲渡制限株式」は、リストリクテッド・ストックを意図しているようです。

このリストリクテッド・ストック(RS)は、既に欧米で導入・発達しているようで、日本でもお馴染みのストック・オプションと一般的に次のような違いがあります。

・配当や議決権がある。
・役員に直接株式を保有させることができ、役員と株主の利益が一致
・株式購入資金が不要
・株式を直接保有しているので、付与時より株価が下落すれば資産目減りの影響をモロに受ける。etc

RSは、譲渡制限期間前に退職すると権利を失いますが、SOよりも役員・従業員の引き留め効果が高いとも言われています。

なぜかと言うと、SOの場合には株価が権利行使価格を上回らなければ権利行使することもなく報酬を手に入れられないが、RSの場合には、たとえ株価が株式付与時より下がったとしても株が紙屑にならない限り譲渡するなどして金銭を手に入れることができるからです。

注) 日本では、一定の譲渡制限株式の内容がまだハッキリしていない。

今回の税制改正では、この役員給与の柔軟化はそれほど大きく取り上げられていないようですが、個人的に注目しています。おそらくベンチャー企業などには影響を与えるはずです。

※ 本記事タイトルに「偏差値50」という言葉が入っていますが、税制改正の良し悪しを意味しているわけではなく、必要最低限これだけ知っていればセーフだろう(勝手に判断)ということを意味しています。

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