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事業計画書の書き方と、成功体験から得た単純な1つのポイント

      2017/12/09

資金調達をする際に事業計画書を書くときには、提出先によって事業計画書の「見せ方」を変える必要がありますよね。例えば、金融機関に事業計画書を提出する場合と、VC等に提出する場合には「見せ方」を変える必要があります。

ここでは金融機関に事業計画書を提出する場合を前提とした場合の事業計画書の書き方について説明します。せっかくなので、事業計画を書く場合の裏技も1つ紹介します。

事業計画書の書き方Ⅰ 机上の空論になっていないか?

作成した事業計画書が「机上の空論になっていないか?」という視点は、金融機関から融資を受ける際の最も大切なポイントの1つと言えます。

言い換えると「作成した事業計画が実際に実現できそうな計画なのかどうか」(実現可能性) が融資を受ける際の最重要ポイントの1つと言っても間違いではありません。計画に実現可能性がないならば、融資はまず不可能と考えても間違いないでしょう。それほどこのポイントはとても重要です。

実際に融資の審査担当者も事業計画に「確からしさ」(実現可能性)があるかどうかという視点で事業計画書をチェックしています。審査の際の面談中に「確からしさ」と言葉を連発する金融機関担当者もいます。それほど、金融機関にとって「確からしさ」は重要ということでしょう。

どのような事業計画が「実現可能」なのか、どのような事業計画に「確からしさ」があるのか?と考える経営者は多いはず。そこで、実現がほぼ「不可能」な計画を例にして、実現可能性を裏側から説明してみます。

例えば、人口が減少している過疎地で独立開業してコンビニを1店舗オープンさせようとしている経営者がいたとします。この経営者は、下のような事業(売上)計画を作成しました (理解しやすいように極端な数字としています)。

この図を見ればわかるように、売上が年ごとに倍々になっていて、5年後の年商は、初年度の16倍になっています。人口減少エリアの過疎地で1店舗だけ経営して、5年後の年商が初年度の16倍というのは、ほぼ不可能なことでしょう。

こうした計画は、実現可能性が「著しく低い事業計画」となり、金融機関から融資を受けることもまず“無理”ということになります。

事業計画の書き方Ⅰ-Ⅰ 実現可能性は事業計画「書」だけで良いか?

上では、事業計画書という“書面”に記載される「数字」に関しての実現可能性について説明しましたが、実現可能性は「数字」に備わっていれば良いというわけではないんですね。

例えば、事業計画を実行できるだけの会社の内部体制が整っているかや、経営者に計画を実行できるだけの能力があるか等も「実現可能性」を判断する際の材料になります。

融資の審査項目として「経営者としての資質」という項目がありますが、経営者に計画を実行できる能力があるか否かは「経営者としての資質」と合わせて総合的に判断されることになります。

結局、数字に関してだけ「実現可能性」という要件を満たしても、会社(経営者)に計画を実現できるだけの能力や、会社の内部体制に課題がある場合は融資を受けられる可能性はとても低くなる。

事業計画書の書き方Ⅱ その事業計画にストーリーはあるか?

作成した事業計画にストーリー性を持たせることは、実現可能性と同様、とても大切です。

例えば、金融機関から融資を受ける際は担当者と事前に面談をしますが、この面談ではストーリーに基づいて事業計画を説明した方が絶対に良いと思います。

ストーリーに基づいて事業計画を説明することで、融資担当者はビジネスそのものや、事業の成長などをイメージしやすくなります。逆に言うと、事業計画にストーリー性がなければ、金融機関側の関心を惹き付けられないかもしれない。

個人的に思いますが、ストーリーに基づいて事業計画を説明するということは、共感マーケティングに通じるものがあると思うんですね。計画にストーリー性を持たせることによって、相手の「共感」を得られやすくなる。

共感を得られると、金融機関の担当者が社内の決裁を得るために「後方支援」してくれる可能性がとても高くなります。

後方支援があるのとないのとでは、審査の結果に影響があると思いませんか?

話が逸れますが、ストーリーの作り方は資金の調達先によって違いを持たせます。

例えば、調達先が金融機関であれば返済計画も踏まえた堅実なストーリーが好まれる傾向にあります。なぜかと言うと、金融機関は融資後に回収しなければならないからですね。

逆にVCから資金調達する場合は「やや強気」なストーリーが好まれます。

金融機関とVCでは、イグジットが違うからですね。

事業計画書の書き方Ⅲ 数字と数字に整合性はあるか?

数字の整合性について説明する前に、簡単に「変動費」と「固定費」の意味を確認します。

変動費とは、売上高の増減に比例して生じるコストのことで、固定費とは、売上高の増減にかかわらず一定に発生するコストのことです。念のため。

で、事業計画書を作成する際には数字と数字の整合性を図る必要があります

例えば、売上高の増減に合わせて変動費も増減させ、固定費は一定にするということです。売上高が増減するにもかかわらず、変動費が一定で推移するのは明らかに不自然だし、逆に、売上高の増減に合わせて家賃などの固定費が増減するのも明らかに不自然ですね。

また融資の申し込みに際しては、事業計画書以外に説明資料などを提出することがありますが、その説明資料との数字の整合性を確保することも必須です。

例えば、説明資料として提出した人員配置計画でスタッフを増やしているならば、事業計画の人件費も増加するのが当然ですよね?

事業計画書を作成する際は、数字と数字の整合性を図る必須です。もし数字と数字に整合性がないならば、鋭い担当者からは必ず厳しいツッコミが入る思って良いでしょう。

成功体験から得た事業計画書を仕上げるときの1つのポイント

事業計画書を作るときの「裏技」を1つ紹介します。

いったん事業計画書を作成した後は、同業他社(または業界の平均データ)の財務分析をし、その分析結果と自らが作成した事業計画書の財務分析の結果に大きな差異がないかを確認するようにします。

極端な例を出すと、小売り業界のいくつかの企業を財務分析した結果、平均原価率が30%なのに、自分が作成した事業計画の原価率が70%だった場合には、明らかに「違和感」がありますよね?

この40%の差を合理的に説明して金融機関の担当者を納得させられれば良いですが、それなりの材料や根拠がないと納得させるのは難しい。

納得させられず、財務数値(ex 原価率)に大きな乖離があるならば、事業計画書を修正することも選択肢の1つになります。

※ 乖離があっても、合理的に説明できて、しかも相手を納得させられるならば修正の必要はなし。

金融機関は、業種別の財務データや、企業の業績別・規模別の財務データを蓄積しています。原価率や、借入金回転期間など、同業他社の財務データと、自らが作成した事業計画書上の財務データがかけ離れ過ぎて入れば、金融機関は御社に「融資をしたい」とは思わずに、「この計画には無理があるのでは?」と考えるはずです。

こうした融資審査上のネガティブ要素を事前に排除するために、同業他社と自らが作成した事業計画の財務分析をします。

要するに、自分が作成した事業計画書と同業他社や業界平均の財務データを分析・比較することで、異常値があれば事前に修正するために財務分析をするんですね。

自分が支援した資金調達案件は、2016年、98%超の達成率だったのですが、すべての案件でこの技を実践し、実際に有効なことも確認しています。

下の利用者の声は、実際に自分たちが支援した案件の経営者の声で、今回紹介した「技」も活用して資金調達に成功した実例です。


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