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リストリクテッド・ストックの5つのメリットと3つのデメリット

      2017/09/28

東洋経済などが、企業別年収ランキングや、年代別年収ランキングなどの企画を定期的に組んでいますが、やはり報酬とか年収の企画ものには高い関心があるので、それなりのアクセスや販売部数を獲れるから定期的に企画しているのだと思います。

そこで今回は報酬に関連して、リストリクテッド・ストックの意味、そのメリットとデメリットについてわかりやすく説明します。

で、リストリクテッド・ストックのメリット・デメリットについては、インセンティブ報酬として同様の性格のあるストックオプションと比較しながら説明します。


リストリクテッド・ストックとは?

リストリクテッド・ストックとは、簡単に言うと、特定譲渡制限付き株式のことで、役員や従業員に対して、一定期間、譲渡を制限された現物株式を報酬として与えることです。

一定期間(ほとんどの場合は、勤務の継続期間が“一定期間”となる)は譲渡が制限されるこになるので、その期間はその株式の売却や処分も禁止されることになります。

そして、一定期間経過後に役員は報酬として与えられたリストリクテッド・ストックを売却して金銭を取得できることになります。一定期間経過後に、売却・換金して事実上の報酬を得ることができる仕組みになっているということです。

ストックオプションのおさらい

この下で説明するリストリクテッド・ストックのメリット・デメリットに関しては、ストックオプションと比較しながら説明しますが、事前にこのストックオプションついておさらいしておきます。

「ストックオプションとか、そんなこと、とっくに知ってるよ!」という方は、この部分は飛ばしてください。

ストックオプションとは、将来において、一定の条件で株式を購入できる権利のことです。

このストックオプションもリストリクテッド・ストックと同様、インセンティブ報酬の1つです。

例えば、株価が100のときに、株式を200で購入できる権利を従業員に与えます。従業員は、会社の株価を上げようと頑張って仕事をした結果、順調に株価が300になりました。このとき従業員が与えられた株式を購入できる権利を行使すると、200を支払えば株価300の株式を取得できるわけです。従業員にとっては、実質的に100の報酬を得たことになります。

これがストックオプションの基本的な仕組みです。

上の例では、無事に株価が300になって従業員が100の利益を得たものの、実際の世の中では、株価が低迷したままで権利行使価格の200を越えないケースもあるはずです。株価が200を越えなければ、従業員にとっては全くメリットがない。この点がストックオプションのデメリット的な側面でもあって、この点をカバーするのがリストリクテッド・ストックでもあるわけです。

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それでは早速、リストリクテッド・ストックのメリットとデメリットを確認します。

リストリクテッド・ストックの5つのメリット

・株価低迷時のインセンティブ効果

上で説明したようにストックオプションの場合には、株価が権利行使価額を越えない限り(権利行使することもないため)、役員には全く利益がないわけです。

リストリクテッド・ストックの場合には、株式が無償で与えられることがほとんどで(※)、その株式を譲渡すれば、株価が低迷していたとしても多少なりとも利益を得ることができます。株価が低迷していたとしてもインセンティブ効果が消えることはないわけです。

これがリストリクテッド・ストックの大きなメリットだと思います。

※ 日本の場合には、会社法上、株式は無償で交付できないことになっています。そこで役員が保有する金銭報酬債権を会社に現物出資して株式を受け取るという考え方が示されています(経済産業省「攻めの経営」を促す役員報酬-企業の持続的成長のためのインセンティブプラン導入の手引)。

因みに、この「現物出資」について簡単に説明すると、役員が持っている金銭債権を会社に提供して、その見返りとして会社の株式を受け取るということですね。

・リテンション効果

リストリクテッド・ストックは、一定期間、株式の譲渡が制限されます。したがって、株式を売却してキャッシュを得るためには、その期間内は会社に留まる(仕事をする)必要があります。

一定期間会社で仕事をしなければならいということは、優秀な役員や従業員を会社に留めさせることができるということになりますね。これがリテンション効果(転職防止)です。

因みに一定の期間、優秀な役員などを引き留める効果があるので、報酬の獲り逃げも防ぐことができます。

・配当請求権や議決権もある

リストリクテッド・ストックは、一定期間、株式の売却などはできませんが、実際に現物株式が支給されることになるので、配当請求権や議決権も行使することがでいるということになりますね。

この点、ストックオプションの場合には、権利行使するまでは株式を取得するわけではないので、配当請求権や議決権はありませんね。

・株主目線での経営

リストリクテッド・ストックは、報酬として現物の株式が支給されます。株式を支給された役員や、従業員は、株主そのものです。

したがって、役員は株主目線で経営したり、従業員は株主目線で自分の職務を実行するということになります。

役員、従業員、株主が同じ方向を見て仕事をすることができます。

・リストリクテッド・ストックの評価が簡単

リストリクテッド・ストックの評価は、基本的には株式の市場価格と考えられていますが、ストックオプションの評価の場合には、ブラックショールズ・モデル、モンテカルロなどで複雑な計算をすることになります。ストックオプションの場合には、これがとてもめんどうで難しい。

※ 専門的になってしまうので、ストックオプションの評価についての詳細な説明は省略します。

リストリクテッド・ストックの3つのデメリット

・企業へのキャッシュ・インがない

ストックオプションの場合には、権利行使されると、会社にキャッシュ・インがあることになりますが、リストリクテッド・ストックの場合には、そのようなことはありません。

先ほど説明したストックオプションの例でいうと、会社には権利行使によって200のキャッシュインがあることになります。

けれど、リストリクテッド・ストックの場合には会社にキャッシュ・インはない。

・株式の希薄化

株式が事実上無償で発行され、無駄に発行済み株式数が増えれば、株式の希薄化が生じます。

・実際にインセンティブ効果は本当にあるか?

リストリクテッド・ストックは、株価低迷時でもインセンティブ効果があると上で説明をしましたが、反面、役員・従業員が仕事で頑張り株価を上昇させなくても、一定期間会社に留まってさえいれば、(少ないかもしれないけれど)利益を取得できるわけです。

この点については、インセンティブ報酬としての効果があるかが疑問に残るところです。役員・従業員は手を抜いて仕事をしても(株価を上昇させなくても)、リストリクテッド・ストックによる利益を得ることもできるということです。

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