TBSの番組に「税務調査官 窓際太郎の事件簿」というドラマがあります。小林稔侍演じる窓際太郎は、建前上は窓際族ですが、実は敏腕税務調査官であって様々な事件を解決していくというドラマです。シリーズ化しているドラマなので、視聴率は良いのかもしれません。
さて税務調査に関連して、先日「富裕層に対する税務調査状況まとめ」という記事を記載しましたが、今回は個人の所得税に対する税務調査についてまとめてみます。
法人に対する税務調査についてはよく耳にするかもしれませんが、個人に対する税務調査はそれほど耳にしないかもしれません。
そこで国税庁が公表している国税庁レポートより、申告所得税に対する調査状況をグラフにまとめてみました。
申告所得税に対する調査状況(特別・一般)
これは特別・一般の実地調査をグラフにしたものです。この特別・一般とは高額・悪質なものを対象に行う深度ある調査のことです。
赤の折線が1件あたりの申告漏れ所得金額で、青が調査件数を示しています。
このグラフを見る限り、特別・一般の調査の1件あたりの申告漏れ所得金額は800万円を超えています。
と言うことは800万円超の申告漏れがあると、特別・一般調査の対象になる可能性が大きくなるとも考えられます。800万円というのは、1つの目安になるかもしれません。ただこの800万円というのはあくまで1件あたりを平均したものなので、調査ラインは800万円以下のはずです。
申告漏れ所得金額が800万円以下であれば特別・一般の調査対象にならないとは限らないことに注意です(そもそも申告漏れがないようにしてください)。
ちなみに下の図は国税庁が公表した給与階級別給与所得者数を基に作成したグラフです。
給与階級別給与所得者数
サラリーマンの給与という視点から考えても、800万円という金額は高額と判断されることがこのグラフを見ればわかります。
申告所得税に対する調査状況(着眼)
これは着眼の実地調査をグラフにしたものです。この着眼とは申告漏れ所得などの把握を短期間で行う調査のことです(赤の折線が1件あたりの申告漏れ所得金額で、青が調査件数)。
このグラフを見る限り、着眼の調査の1件あたりの申告漏れ所得金額は180万円超なので、180万円超の申告漏れ所得金額があればこの調査の対象になる可能性は高くなると思われます(申告漏れがないようにしてください)。
ところでアベノミクス以降、株価が上昇し、その後の売買で利益を確定させた個人投資家はたくさんいると容易に想像できます。
儲けたとしても、利益が生じた年は際は申告せず、その後の損失が発生した年に(過去の儲けは無申告のまま)繰越控除を利用する目的で申告する人達がいますね。この申告の段階で、過去の取引が調査対象になり、過去の儲けが発覚するのではないかと思います(完全に個人的な推測です)。
繰越控除についての説明はこちら
「NISA開設予約322万件、デメリットを簡単解説」
一般・特別、着眼以外に簡易な調査な調査という調査があります。この簡易な接触とは、電話または来署依頼により、申告の是正等を行うことです。このように調査にもさまざまな種類があります。
※申告漏れがないように。 脱税は違法です。
「国税庁HP」