東洋経済やダイヤモンドで「会社別の給与」を公開してることがあります。定期的にこの「会社別給与」的な企画があるということは、読者のニーズがあり販売部数が確保できるからです。
そこで今回は会社別の給与ではなく、皆の給与水準が全体としてどのように変化しているかをまとめてみました。
サラリーマン給与階級別所得層の推移
このグラフをみると、所得500万円以下の方々の割合が平成19年から平成23年の5年間で5%増えていることがわかります。
逆に所得500万円超1000万円以下の方々は5年間で3%の減少。
そして所得1500万円超の方々はほぼ変化なし。これは経営者層や決済権限のある層だと思うので、自分で自分の首は絞めてないということを示す数字と考えられます。
500万円超から1500万円以下は中間管理層だと考えられるので所得の低減というデータを見る限り、この層の首は絞められてるようです。
男性の方が給与低下している
上の図は男女の給与所得をまとめたグラフですが、男性に限ってみると所得500万円以下の層は平成19年からの5年間で6%弱増加しています。年々500万円以下の層が増えてます。
給与の低下について身近な例を挙げると、約7年前の大手監査法人の入所時の給与は550万円+残業代でしたが、最近は入所時の給与400万円未満+サービス残業代のはずです。少なくとも入所時点で150万円の差があります。
大手に限らず、一般の事業会社でも軒並み給与は低減傾向でサービス残業は当たり前の状況になっているのが現実です。
アベノミクスで賃金増加を掲げていますが、賃金増加に対応できるのは極一部の大手企業だけで、中堅企業などが対応できるかは疑問です。
また極一部の大手企業が賃金増加するといっても、上の図を見る限り、実質的には賃金増加するのではなく、以前の給与水準に戻るだけのような気がしてなりません。
一方、経営陣からすると経費削減の一環として徐々に下げてきた給与を元の水準に戻すとなれば、経営者にとっては悩みの種が一つ増えるはずです。特に中小企業では人件費の増加が資金繰りに与える影響は大きいです。資金繰りで失敗すると倒産しかねません。倒産すると、給与低下どころの話ではなく、従業員は職を失います。
新聞などでは、給与水準が増加したと言われていますが、増加したのは殆ど大企業で、将来の先行きが不透明な中で中小企業が固定費を増加させるのは厳しいです。
個人の税務調査状況については「個人に対する税務調査状況まとめ」に記載してみました。
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