埼玉県に盆栽村というところがあります。その名の通り、盆栽がたくさんあり、盆栽業者や、盆栽美術館まであり、芸術作品のような盆栽をたくさん見ることができます。
個人的にも、盆栽村には観賞用の盆栽を仕入れに行ったことがあります。
盆栽を購入するとき店主が「盆栽は愛情を込めて育てれば、人を裏切らない」と言った言葉が今でも記憶に残っています。
盆栽はユネスコの無形文化遺産に登録されても不思議ではないほどの、日本が生んだ芸術品で、盆栽の生産技術などは、国を問わず承継されるべきだと思います。
そこで今回は、盆栽についてのお話です。
海外で販売される盆栽
日本で盆栽は過去の伝統産品としての認識のあると思います。
都内では、日本橋三越の屋上でたくさん販売されています。この販売店も、埼玉の盆栽町に本店がある清香園という盆栽屋さんです。
実は、この盆栽はイタリア、オランダ、ベルギーでは40年前から需要があって、イタリアに関して言えば、30年ほど前から直輸入が始まっていて、盆栽愛好会までも存在しているようです。
イタリアにおける盆栽の輸入額は下の表のとおり2008年においては650万ユーロ弱ですが、ベルギーやオランダの盆栽マーケットも考慮すると、もっと大きな市場になるはず (下記の図はJETRO調査報告書)。
ちなみに日本の盆栽市場は5億円程度のようです。
また農林水産省の公表によれば、海外市場への植木・盆栽類の輸出額は金額ベースで、82億円弱(2012年)です。
イタリアの盆栽輸入額
イタリアの盆栽輸入推移
海外で盆栽が販売される場合の一般的な流れ
海外で盆栽が販売される場合の流れは下のようになります。
輸入・流通の流れ
A 日本の盆栽生産者
↓
B 日本の輸出商社
↓
C イタリアの盆栽専門通関業者
(例.イタリア北西部の場合はジェノバの専門会社(日本からの盆栽輸入の通関業務をほぼ一手に引き受けている))
↓
D イタリアの盆栽輸入・取扱業者 =E 盆栽販売専門店
そして、気になる小売希望価格ですが、入荷コストの2倍から3倍が通常のようです。
日本側における盆栽ビジネスの課題
盆栽ビジネスの日本での課題は、なんといっても生産者の高齢化が進んでいることです。盆栽の生産や技を受け継ぐ後継者の育成も課題です。
また生産者が独自の路線を歩んでいて、生産者同士の情報交換や盆栽需要の詳細なニーズには対応しきれておらず、そのニーズに対応する仕組みもないという点も課題の1つです。
※ 盆栽の輸出にあたっては盆栽輸出検疫検査等も必要
日本の盆栽市場は縮小しているので、若年層に受け入れられるような盆栽の生産も必要かもしれないし、実際、中目黒には若い人達にウケそうな盆栽ショップがありますね。
日本酒と同様、盆栽はユーロで売れるだけの魅力があると思うし、商品力もある。海外では視線を集めると思うんですよね。
ただ商品力があるだけでは物は売れないので、プロモーションの一環として無形文化遺産に登録申請すべきです。そうすれば盆栽の認知度も上がって市場規模は拡大するはず。
盆栽にビジネスチャンスはあると思いますが、なによりユネスコの無形文化遺産に登録されるだけの文化的価値があると思います。