ホンハイがシャープを買収するというニュースが流れて思いますが、企業も栄枯盛衰で、どれほどの大企業・名門企業であっても歯車が狂ったり、戦略上の誤りがあると将来どうなるかはわからない。
舵をとる経営者の責任は大きい。
で、ホンハイの買収決定後、シャープの偶発債務についてのニュースが流れていますが、この偶発債務と債務が現実化した場合のシャープの債務超過額について簡単に説明します。
偶発債務とは?
専門的な仕事をしていないと、偶発債務の意味がよくわからないかもしれない。減損や、税効果、または繰延税金資産など理解しづらい専門用語はたくさんありますが、偶発債務も意味不明用語の1つかもしれません。
参考:丸紅が巨額減損1200億円計上。そもそも減損とはなにか?
この偶発債務とは、債務の保証、係争事件に係る賠償義務その他現実に発生していない債務で、将来において事業の負担となる可能性のあるもののことです。
簡単に言うと、まだ実際に発生していない債務だけれど、今後発生する可能性のある債務と言えます。
例えば、A社が裁判で損害賠償を請求されているとします。損害賠償は請求されているけれども判決が確定しない限り、損害賠償債務は実際に発生しない。
この判決確定前に損害賠償されている状態が、偶発債務の一例ということです。
シャープには偶発債務が3,500億円あった
この将来負担するかもしれない偶発債務がシャープには3,500億円あったということで、直近(平成27年12月末)のシャープ連結純資産は1,600億円なので、かりにこの偶発債務が現実化するとすれば約1,900億円の債務超過になります。
債務超過 → 偶発債務 3,500億円 > 平成27年12月末連結純資産1,600億円
あくまで偶発債務であって、債務が確定しているわけではないので3,500億円の全額が現実化するとは限らないが、可能性はゼロでもないということです。
シャープがホンハイの出資を受けると決めたのは2月25日で、その前日の24日にホンハイ側に偶発債務のリストを伝えていたようで、そのリストをみたホンハイの社長も寝耳に水で、心臓が口から飛び出る思いをしたかもしれない。現在、ホンハイは偶発債務の中身を詳細に検討中とのことで、1つ1つの偶発債務については、その発生可能性と発生した場合のインパクトを分析中だと思います。
しかし、シャープ側は情報を出すのがあまりにも遅すぎて、みんなビックリしていると思う。
※ ホンハイ側の事前DDで有価証券報告書に記載されているレベルの偶発債務は、買収側に重過失がない限り、既に把握していたはず。また、そもそも有価証券報告書にあらゆる情報が記載されるという考え方は間違いで、良くも悪くも綺麗に作成するのが上場企業の為せる技です。
ホンハイ側のあわてふためきが容易に想像できます。
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