丸紅が巨額減損1200億円計上。そもそも減損とはなにか?
2015/02/15
以前、Blogでスカイマークについて記載しましたが、不運にも昨日、スカイマークは民事再生の適用を申請したようです。
さて今回は、丸紅の巨額減損についてのニュースがあったので、減損とはなにか?について簡単に記載します。
丸紅が巨額減損を出した。そもそも減損とはなにか?
2015年1月29日の東洋経済オンラインの記事で「丸紅、減損1200億円を招いた2つの誤算」という記事があったので、そもそも減損とはなにかについて、簡単な数値例を用いて説明します。
専門家や金融・証券機関関係者、上場企業の財務経理の方々は詳しくご存じだと思いますのでこの記事はスルーしてください。
書店のビジネス書・専門書エリアに行くとタイトルに「減損」と付いた本はたくさんありますが、そもそも減損とはなにか?についてイメージすることが難しい職種もあるかと思いますので、ざっくり、説明します。
減損の具体例
減損と言っても、減損対象は様々あります。不動産の減損、のれんの減損、有価証券の減損などが代表的だと思います。
まずは不動産を例に減損について、ざっくり説明します。
都内にある不動産を1000で購入しました。購入時には、将来この不動産から得られる家賃などの収入は1500と見込んでいたとします。
しかし、購入から1年後、リーマンショックのような世界的な事件による不動産価格の下落の影響を受けて、将来にわたってこの不動産から得られる収入は300になりました。
つまり、見込んでいた収入が得られなくなり、しかも投資した金額1000よりも低くなりました。
この際の減損金額は
700=購入金額1000-将来収益300
になります。
購入した金額よりも、将来得られる収益が300しかないので、700の損失が生じることになります。
そしてこの減損700はPL上の特別損失に計上されます。
財務諸表の読み方が苦手な方は、下の記事がお勧めです。
シンプルな例ですが、簡単にいうと、これが減損のイメージです。
上では不動産の減損を例にしましたが、買収によって生じたのれんや、店舗そのもの、ゴルフ場まるごと減損の対象になることもあります。
当然ですが、実務では減損の計算はもっと複雑になります。
丸紅の場合も、かなりざっくり説明すると、1600億円見込収益が減少したということでしょう(正確に言うと、見込収益が減少したというのは語弊があると思いますが、イメージしやすいように見込収益としています)。
※丸紅の場合は、資源関連の投資やMAにかかわる買収のれんで減損が生じたようです。
Photo Credit:samira
東洋経済の記事では1200億円となっていますが、税効果を考慮外とすると1600億円になります。
ところで中小企業では減損をしているか?
減損がニュースになるのは、ほとんど上場企業だと思います。上場企業の場合は、減損すべきときに減損しないと監査法人からの修正依頼の対象になります。
ただ中小企業の場合は、減損が必要な不動産などがあったとしても、大半の企業が減損をしていないはずで、税理士も中小企業に対しては減損処理するようにアドバイスはしないはずです。
もちろん中小企業が自ら不動産を減損することは全く構いません。
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