大塚家具が内紛に至った経緯と今後の戦略についてまとめ
2015/03/13
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プロキシ―ファイトという言葉があります。このプロキシ―ファイトとは、日本語にすると委任状争奪戦のことで、簡単に言うと、株主総会で自らの提案を可決するために他の株主からの委任状を取得し、多数派を形成しようとすることです。
現在、大塚家具はプロキシ―ファイトの真っただ中にあるようです。そこで今回は、大塚家具の内紛に至る経緯や今後の同社の戦略についてまとめてみました。
※参考にした資料は、主に有価証券報告書、会社リリース、中期経営計画書の3つです。
大塚家具が内紛に至った経緯
まず、大塚家具の現状は、代表取締役会長は勝久氏(以下、会長)、代表取締役社長は久美子氏(以下、社長)となっています。
これは平成27年1月28日の取締役会決議で
代表取締役会長兼社長の勝久氏が代表取締役会長
取締役だった久美子氏が代表取締役社長
となる決議を受けたものです。
要するに、会長は社長職を失い、取締役が社長に昇格したということです。
Photo Credit:Hamama Harib
社長は平成26年7月に、一旦解任されていた
現社長は、平成26年7月に解任され、いったん取締役になっていました。ただ上でも記載したように半年後の平成27年1月に社長に返り咲いています。
現社長の役職を時系列で見ると
平成21年3月代表取締役社長に就任
平成26年7月代表取締役解任→取締役就任
平成27年1月代表取締役に返り咲き
これに対して現会長の役職を時系列でみると
平成21年3月代表取締役会長に就任
平成26年7月代表取締役会長→代表取締役会長兼社長に就任
平成27年1月代表取締役会長兼社長→代表取締役会長に就任
これが時系列にした場合の一連の流れです。社長が取締役になったり、その後社長に復帰したり、会長が会長兼社長になったり、社長を兼任しない会長に戻ったりという事態になっています。
大塚家具の業績推移
上の図を見ればわかるようにH19年からH20年で業績が低下したので、H21に父から娘へとバトンタッチしたのかもしれません(H20年の営業利益は前年比で▲73%)。
久美子氏が初めて社長に就任したのは、平成21年です。就任時の営業利益は大赤字でしたが、その後営業利益は少し回復。就任以降の売上は微増です。
業績に劇的な変化が見られなかったので、会長は平成26年7月に久美子氏をいったん社長職から解任したのだという推測もできます。解任と同時に、会長が復権。
ちなみにこのときの会社リリースによると、解任理由は
経営環境の変化に鑑み、機動的な経営判断を行うことを目的として、新たな経営体制へ変更するものであります。
となっています。理由が抽象的すぎて本当の解任理由はわかりません。これも上場会社のIRテクニックの1つです。
H27年1月に会長は社長職を解かれ、半年後に社長が返り咲き
平成27年1月、会長は社長職を解かれ、久美子氏が社長に返り咲きました。会社の説明によると、会長が社長職を解かれた理由は会長主導による経営方針が業績悪化をもたらしたからと伝えられています。
上の図の、営業赤字が生じている2014年下期と2015年上期が会長が社長も兼任していた時期。
会長が旧来の販売スタイルに転換したことが業績悪化の理由と伝えられています。
会長は27年3月で退任か?
プロキシ―ファイトが行われているのは、次期の会社役員を誰にするかで争われています。
会長側が提案する取締役10名と監査役2名、社長側が提案する取締役10名と監査役3名を巡って、より多くの賛同者を募っているところです。
※この会長側の提案に対して、取締役会(社長側)は反対することを明確にしています。
ちなみに役員は、株主総会に出席した議決権の過半数を獲得すれば選任されることになります。
会長の保有株は3,500万株で全体の18.04%の議決権を、社長の保有株は23,200株で全体の1%未満という状況です。
ちなみに大塚家具従業員持ち株会は2.69%です。
この数値だけを見ると、会長側が有利な印象を受けてしまいます。
大塚家具、今後の経営戦略
大塚家具のwebサイトを見ると、中期経営計画が公表されています。
この中期経営計画は、会長側ではなく、社長に返り咲いた後に社長側が作成した計画です。
この中計で特に強調されているのは、低価格帯の商品で攻めるニトリやIKEAとはターゲットを異して、中価格帯の商品に顧客を引き込み、売上を伸ばすこと。社長側が想定している競合店は、ACTUSと百貨店。
大塚家具とACTUSは中価格帯を主力にするという点では同じかもしれませんが、ACTUS新宿店に行くと、ACTUSの方が商品のデザイン性が高く比較的若いお客が多いと感じます。若い世代にACTUSは人気があります。
※大塚家具は中価格帯だけでなく、高価格帯にも注力することは従来と変わりがないようです。大塚家具というと、中価格帯というよりも高価格帯というイメージが浸透していますが、この中計のなかでリブランディング戦略については特に説明されていません。
大塚家具の店舗は、年齢層の高いお客が多いというイメージがあります。
他に中計で強調されているのは、BTOB事業の強化です。
中期経営計画では、この2点が特に強調されています。確かにこの中計には、3年という中期的な視点で見た場合、戦略的合理性があるように感じます。中計を公表するにあたって社内でも相当練ったはずです。
会長側の経営方針は、伝統の会員制ビジネスモデルで売上増加を目指すということだと思います。
ちなみにこの社長側が作成した中期経営計画は、プロキシ―ファイトの最中ということもあって、かなり株主を意識して作成されています。
大塚家具の中期経営計画は下のURLでご覧になれます。
http://www.idc-otsuka.jp/company/ir/ir.html
大塚家具の有価証券報告書を見て気になったこと
大塚家具の有価証券報告書を見て1点気になったことは、海外売上がないことです。会社サイトを見ても、海外店舗はないようです。
実際は、海外売上があるかもしれませんが、国内売上に比べてあまりにも海外売上の金額が小さすぎるので開示していないだけかもしれません。
ただ、大塚家具が本格的に海外に打って出るのは時間の問題だと思います。国内市場だけでは限界がある。
海外進出はさておき、会長も社長も会社を良くしたいという思いは同じです。ただ社内ガバナンスの脆弱さが、こうした内紛をもたらしたと言えます。
最後に付け加えると、会長に義理と恩のある古参の従業員はその立場が難しいですね。
大塚家具の会長側が公表した案などについて下の記事に記載しました
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