社外取締役を置くことが相当でない理由とは、どういうことか？

2015年5月より、改正会社法が施行され、5月以降に開催される定時株主総会から“社外取締役を置くことが相当でない理由”を説明する必要があります。

株主側から見た場合も、この点は、株主総会での突っ込みどころになると思います。

参考：ビジネスマンなら知っておきたい会社法改正をつまみ喰い解説①

5月以降の株主総会から初めての適用のため、「社外取締役を置くことが相当でない理由」に関する他社事例が流通しておらず、上場企業の実務担当者は、かなり情報収集に骨を折っていると思います。

なぜかと言うと、”社外取締役を置くことが相当でない理由”の検索件数が上がっているからです。

また「社外取締役を置くことが相当でない理由」は抽象的なので、“創りづらい”という側面があると思います。

そこで今回は、情報提供の一環として、社外取締役を置くことが相当でない理由について記載した法務省大臣官房参事官の著書より抜粋します。

社外取締役を置くことが相当でない理由

参事官が以下の著書のなかで、社外取締役を置くことが相当でない理由について、次のように記載しています。

社外取締役を置かない株式会社がいかなる理由から社外取締役を置いていないかは、各株式会社の個別の事情によって異なります。

そのため、第327条の2の規定に基づく「社外取締役を置くことが相当でない理由」の説明についても、各株式会社において、その個別の事情に応じてすべきこととなり、そのような場合に、「社外取締役を置くことが相当でない理由」があると認められるかということを一概に述べることはできません。

もっとも、第327条の2は社外取締役を置くことが「相当でない」理由の説明を求めている以上、単に社外取締役を「置かない」理由を説明するだけでは、置くことが「相当でない」理由を説明したことにはなりません。

「相当でない」理由を説明したというためには、社外取締役を置くことがかえってその会社にマイナスの影響を及ぼすような事情を説明する必要があります。

また、例えば、「社外取監査役が○名おり、社外者による監査・監督として十分に機能している」と説明するだけでは、社外取締役を置くことが「必要でなり」理由を説明にすぎず、社外取締役を置くことが「相当でない」理由の説明とは認められません。

このほか、例えば、「適任者がいない」ということのみの説明も、「社外取締役を置くことが相当でない理由」の説明とは認められないこととなり得るものと考えられます。

参事官の記載を見てもわかるように、ポイントは社外取締役を置くことがかえってその会社にマイナスの影響を及ぼすような事情を説明する必要があるという点にあります。

社外取締役を置くことが相当でない理由について想定問答集の作成は必須

上場会社は、株主総会対策の一環として、“社外取締役を置くことが相当でない理由”について相当問答集の作成は必須です。

この点に関して、株主から質問がある可能性が高く、また株主側も、この点での突っ込みを事前に検討していると思います。

社外取締役を置くことが相当でない理由の目安は？

繰り返しになりますが、社外取締役を置くことが相当でない理由のポイントは、社外取締役を置くことがかえってその会社にマイナスの影響を及ぼすような事情を説明することにあります。

また個人的な意見ですが、社外取締役を置くことがかえってその会社にマイナスの影響を及ぼすような事情についての目安としては、その事情について、株主と議論して耐えられる程度の強さが必要だと思います。

なぜかと言うと、株主と「社外取締役を置くことがかえってその会社にマイナスの影響を及ぼすような事情」について議論して、株主に論破されるようでは“事情”としては弱いからです。

したがって、「社外取締役を置くことがかえってその会社にマイナスの影響を及ぼすような事情」については、社内の実務担当者で議論を重ね、知恵を結集して「社外取締役を置くことが相当でない理由」を創る必要があると思います。

社外取締役を置くことが相当でない理由の他社事例が流通しはじめました。

【事例】社外取締役を置くことが相当でない理由

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