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平成27年度税制改正について、つまみ喰いで簡単に解説①

   

トン(t)という重さを表す単位があります。ワインを入れる樽を叩くと、“トン、トン”という音がします。これが重さを表す単位、トンの由来です。

InfusionPhoto Credit:Nick Chill

さて今回は、ワインのお話ではなく、税制改正のお話です。ビジネスマンや社会人であれば、税制改正の基本的な内容は知っておいても損はないと思います。そこで今回は、法人税の改正内容に焦点をあて、最も基本的なことを簡単に解説します。


平成27年度法人税の税制改正の注目ポイント

平成27年度税制改正のコンセプトは、企業を成長させるための改正という点にあります。このコンセプトの根底には、デフレ脱却や経済再生による雇用拡大は賃金上昇、消費拡大という狙いがあります。

ただ現実的には、上場企業を除き、先行き不透明でなかなか賃金は上げられないというのが、中小企業の社長の本音だと感じます。

法人税の税率が下がる

現在の法人税は、25.5%です。改正後の法人税は23.9%になります。この法人税が適用されるのは、平成27年4月以降です。

平成27年3月31日が決算日の会社は、この法人税率はすぐには適用されずに、平成28年3月31日の決算から法人税が23.9%となります。

ちなみに資本金1億円以下の中小法人などは、所得金額800万円以下の部分の税率は15%です。

法人税率23.9%になり、やっとシンガポールなどの税率に近づいてきました。シンガポールの法人税率は17%です。

欠損金の繰越控除制度を見直し

欠損金の繰越控除制度を下で簡単に説明します。

例えば、2014年に1,000万円の損失を出し、2015年に1,000万円の利益を出したとします。

2014年の損失を2015年まで繰越し、2015年の利益1,000万円と合算すれば、利益は0になります。利益が0になるので、法人税を支払う必要はありません。

これが欠損金の繰越控除制度のイメージです。

欠損金の繰越控除できる期間が延長

欠損金を繰越控除できる期間が延長されることになります。

具体的には、この欠損金を繰り越せる期間が、9年間から10年間に延長されます。上の例で言うと、2014年に生じた損失は2024年まで繰越せることになります。

大企業などでは欠損金の繰越控除できる金額が制限されます

大企業などは、この繰り越せる欠損金の金額は段階的に引下げられる予定です。

具体的には、

・平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度では、
繰越控除前の所得の65%相当額まで引下げられます。

・平成29年4月1日以後に開始する事業年度では、
繰越控除前の所得の50%相当額まで引下げられます。

繰越控除の制限を、具体的な数値を使って簡単に説明します。

例えば、2014年に1,000万円の損失を出し、2015年に1,000万円の利益を出したとします。

2014年から繰越された1,000万円の全てを2015年の利益1,000万円から控除できるのではなく、65%に相当する650万円だけ控除することができます。

したがって、控除しきれなかった所得の350万円部分(1,000万円-650万円)については、税金が発生することになります。

外形標準課税の拡大や、研究開発、受取配当金など、他にも法人税の改正はありますが詳細は割愛します。

上で説明した法人税率と繰越欠損金控除の改正は、ビジネスマンや起業を志す人が最低限インプットしておくべきことではないかと思います。もちろん、余裕があればその他の改正内容についても一通り目を通すことをお勧めします。

将来的に中小企業が負担する税金は増えるか?

今回公表された税制改正大綱に気になる記載があります。

中小法人の実態は、大法人並みの多額の所得を得ている法人から個人事業主に近い法人まで区々あることから・・・・・中略・・・・・・同一の制度を適用していることの妥当性について検討を行う。そのうえで、中小法人のうち7割が赤字法人であり、一部の黒字法人に税負担が偏っている状況を踏まえつつ、・・・・・中略・・・・・幅広い観点から検討を行う。

この記載から考えると、将来のいずれかの時点で、中小法人に対しても外形標準課税が適用されるはずです。将来的に、中小企業が負担する税金は増えるはずです。

実際問題として、増税しないと国の財政が回らないからです。



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